K's Review

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アンジェイ・ワイダ【カティンの森】

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ポーランドの巨匠=アンジェイ・ワイダ監督の
映画【カティンの森】は そのバックグラウンドの理解なしには
観ることのできない映画ですので
あらかじめ 私なりの説明をしておきます.

ポーランド は 古くは東ヨーロッパの大国でしたが
ドイツ人やロシア人の勢力が増してからは 勢いが劣勢で
両国に国土を切り取られることも多く
国内勢力の対立も原因の1つでした.
ポーランド人の国家自体が なくなるという
民族の危機も 何度か経験しています.

第2次世界大戦は ナチス・ドイツが 1939年9月1日に
ポーランドに侵攻したことで 始まりましたが
およそ1か月程度で ポーランドは東西に分割され
西側は ナチス・ドイツが 東側は ソ連が 支配することになります.
ナチス・ドイツとソ連は あらかじめ秘密条約を結び
 それを実行した結果 このようになりました)

このとき ソ連支配地のポーランド兵は捕捉されましたが
この中の将校以上の兵士が
現ロシア スモレンスク近郊の ”カティンの森” で
大量に殺害されました.
何人 殺害されたかは 正確にはわかっていません.
5000人から20000人の間だと言われています.
ソ連が 上層部の命令で実行したと 言われています.
ポーランドを壊滅させるには
軍事技術を含む いろいろな技術を持っていたポーランド将校団を
抹殺することが 早道だったと
説明する人もいます.
[もっと詳しく知るには  ]
(恐ろしいことです!!)
ワイダ氏の父も この事件で 亡くなったそうです.

映画のほうですが
この事件に巻き込まれた 将校たちの動向と家族の対応を
ドキュメンタリーのように 抑えた表現で描写していきます.
観るものを捉えて話さない力量は さすが ワイダ です.

少し重苦しい時間にも耐えることができて
社会や歴史にも関心がある方にとっては
この映画は 良作だと思います.

(追記)
ポーランドでは 第2次大戦中 いくつかの悲劇がありました.
アウシュビッツ収容所
  ポーランドは ユダヤ人に寛容でしたので
  たくさんのユダヤ人が住んでいました.
  しかし ナチスの人種政策によって
  ユダヤ人などが ここに収容され
  多くの人が亡くなったと 言われています.
ワルシャワ蜂起
  1944年夏 壊滅寸前にあったドイツ軍に対して
  ワルシャワ市民とポーランド軍が 起こした蜂起です.
  これに対する ソ連軍の対応が鈍く
  再結集したドイツ軍によって 蜂起軍は 殲滅されました.
  およそ20万人の ワルシャワ市民が亡くなったと言われています.
  蜂起軍壊滅のあと ソ連軍は 廃墟になったワルシャワを占領します.
  ソ連軍の対応の鈍さが
  ポーランドのロンドン派の力を 削ぐためだったという
  意見もあります.
  ワイダ氏の監督した映画 【灰とダイアモンド】も
  ポーランドでの ロンドン派と親ソ連派の争いを 背景にした
  映画です.

NHK BS で観ました ]