K's Review

書きたいこと いろいろ!!

小説【センセイの鞄】(川上弘美)

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高校で 国語を教えた センセイ と 教え子の ツキコさん が
ツキコさん が 三十七才
センセイ が 三十七才+三十才+α のとき
酒場で出会ってからの
愛のような 恋のような 行き来を描いた作品です.

はじめは そんなふうに思って読んでいて
実際そんなふうな作品なんですけれども
(それで レビューの中には そんなふうな
 起伏のない単調な作品と評価していた方も おられましたが ...)
読み進んでいきますと 私の中で
少し違った感情が 沸き上がってくるのです.

それは この物語が 幻想的な物語ではないか? という感情です.
この本を読まれた方は 特に男性のかたには
信じがたい感情ですが(私も男性ですが)
私には この物語は 何か 市井の生活と 架空の幻想的な世界との
接点あたりを歩いているように感じてしまうのです.

描かれているのは 市井の生活そのものなのに
少し突き詰めてみれば そのような生活からの 著しい逸脱.
師弟関係 / ヘンテコな出会い / 異常に離れた年齢
/ どこにでもありそうな酒場での ピュアすぎる交流 ...
このような逸脱が 幻想でなかったら
それをなんと呼べば良いのでしょうか?

この 日常的であって幻想的な世界は
私たちを この愛って どんなものなんだろうかとか
愛(恋)って いったい何だろうかという
ほんのちょっぴり哲学的なところまで 連れて行ってくれます.

すがすがしい後味の残る 良品でした.

ですから 本作品をもとにしたマンガ版 と
別の 川上弘美さんの本を 追加して買いました.